Month: November 2019
医薬品テグレトールの効果と副作用

テグレトール(カルバマゼピン)はてんかん発作を抑える薬として開発され、発売は1996年とかなり長い間使われている薬です。 神経細胞の中にナトリウムが入ることで神経は興奮しますが、テグレトールの効果はナトリウムの入り口であるナトリウムチャネルの働きをブロックすることで神経の興奮を抑制します。 この作用により脳神経の異常興奮により生じるてんかん、躁、三叉神経痛などの病気に対して用いられます。 てんかんに対して てんかん発作にはさまざまな種類がありますが、運動症状、感覚異常、自律神経失調、精神変調、無反応など部分発作にテグレトールは有効とされています。 全般発作では強直間代発作(大発作)には有効ですが、欠神発作、ミオクロニー発作、脱力発作には無効とされています。 躁に対して 脳神経の異常興奮による気分の高ぶり、つまり躁状態を抑える目的で使用されます。 同じく躁状態の改善薬には炭酸リチウムがよく用いられますが、躁状態の抑制には同等の効果があり、なおかつ効き始めるまでの時間はテグレトールの方が速いとされています。 また再発予防効果があるという報告もわずかにありますが、再発予防目的で使用されることは少ないようです。 三叉神経痛に対して 三叉神経は顔や口の知覚を主につかさどる神経ですが、この神経が異常興奮すると電撃痛と呼ばれるような激しい痛みが生じます。 この痛みを緩和するためにテグレトールがよく用いられます。 以上のようにテグレトールはさまざまな病気に用いることができる利便性の高い薬の一つであると言えます。 しかしながら副作用が多く、また発現頻度が高いことでも知られています。 国内の調査では38.1%になんらかの副作用が見られ、主なものとして眠気、めまい、ふらつきなどがあり、臨床検査値ではγ-GTPなど肝機能異常などがよく見受けられます。 また副作用の中でも眠気、吐き気、めまいやふらつきなどは過量投与の可能性もありますので低用量から服用を始め、症状を見ながら用量を増減するべきとされています。 また比較的軽度な副作用だけではなく、重篤なものも中にはあります。 添付書類には再生不良貧血など血液障害、中毒性表皮壊死融解症など皮膚障害、全身性エリテマトーデス様症状、アナフィラキシーなど、いろいろな臓器に重篤な副作用、障害を起こす可能性が記載されています。 さらに妊娠中、授乳中の人は極力服用しないほうが良いようです。 催奇形性や新生児出血など胎児への影響が強いだけでなく、母体にも葉酸低下などの影響が表れるとされ、母乳への移行も確認されています。 カルバマゼピンと危険な飲み合わせ テグレトールは他の医薬品との相互作用も多く報告されており、薬の飲み合わせには注意が必要です。 相互作用を起こす理由の主なものとして、以下が挙げられます。 1.カルバマゼピンの持つ代謝酵素誘導作用により代謝が促進されることによるもの まず1.の中で代表的なものは抗真菌薬のボリコナゾール、ED治療などに用いられるタダラフィル、エイズ治療薬のリルピビリンが挙げられ、併用は禁じられています。 また抗結核薬のイソニアジドでは代謝が促進される事で肝毒性の強い代謝物が増加し肝機能異常を起こす事があり併用には注意が必要です。 他にも類似した薬効のクロバザム、フェノバルビタールの血中濃度を下げるとされ、特にフェニトインは複雑で、相互に血中濃度を下げたり、フェニトインの濃度が逆に上昇したりすることがあります。 2.カルバマゼピン代謝の主な代謝物であるカルバマゼピン-10,11-エポキシドの代謝酵素(エポキシド加水分解酵素)を阻害する薬を併用するとカルバマゼピン-10,11-エポキシドの血中濃度が上昇するもの 抗うつ薬のフルボキサミン、不整脈治療薬のベラパミル、マクロライド系の抗生物質、エイズ治療薬のリトナビル、抗男性ホルモン薬のビカルタミドなど、10数種類の薬剤が添付書類には記載されています。 1と2の双方を併せ持つ薬 1と2の双方を併せ持つのが抗真菌薬のイトラコナゾール、向精神薬のクエチアビン、そしてC型肝炎治療薬のテラプレビルで、これらの薬剤の血中濃度は下がり、カルバマゼピンそのもの、またはカルバマゼピン代謝物の血中濃度は上昇します。 3.脳神経を抑制するものとの相乗作用によるもの アルコールや中枢神経抑制剤のハロペリドール、チオリダジンにより相互に作用が増強されます。 4.原因不明なもの 同じく躁にもちいられる炭酸リチウム、制吐剤のメトクロプラミドは原因不明ながらそれぞれ精神神経系症状、運動神経症状が出現することがあるとされています。 代表的なものだけ挙げましたが実際の添付書類には2ページに渡り100種類近くの医薬品の飲み合わせに関する記載があります。 テグレトールは様々な目的で長きに渡って使い続けられた薬剤ですが、副作用や飲み合わせには注意が必要です。 医師または薬剤師の方に十分な説明を受けて注意深く服用してください。 また薬局に行く際には必ずおくすり手帳を持参しましょう。

2019年11月22日